令和6年5月20日に行われた第18回定時総会で新理事長に平野栄一が就任しました。
「ちばの木」「香取すぎ」
平成31年1月27日㈰
昨年好評だった恒次祐子博士の講演会を再度行います。
お申し込みはFAX0478-57-3249へ1月25日迄にお願いします。
地域材利用の必要性
~「木の良さ」を数値で表す~
第二部 木材が人に与える影響 (後半)
□ 「心地よさ」を測る→人の生理状態の測定
□ 五感で感じる木の良さ→木の香り、木の手触り
□ 木の空間の影響
木材利用について国際的にも非常に追い風が吹いている時期ですが、木を使うことによって私たちの体にどのようなメリットがあるのかということを、後半でご紹介したいと思います。
データをいくつかご紹介する前に、前提となる測定法などをご紹介します。
脳波を測るのは被験者に負担をかけるので血流を測る方法を採用しています。
被験者さんのおでこにセンサーを貼っている画像、これは脳の血流を測るセンサーで、前頭葉といわれる部分の血流を測っているところです。私たちの脳は、活動をすると酸素を消費しますので酸素を運ぶためにたくさんの血液が送られてきます。その血流を測り、血流が増えていたら、その部分の脳が活動したことを指します。逆に、減っているとその部分の活動が鎮静化しているという解釈ができます。
左手にもう一つセンサーがついていますが、これは血圧と脈拍数を測るセンサーです。皆さんも、上腕を入れて血圧を測る装置で測定をされたことがあるかと思いますが、それを指で行います。上腕で測るタイプは一度しか測定できませんが、こちらは1秒ごとに連続して血圧や脈拍の変化を測ることができます。
少し専門的な測定ですが自律神経の測定です。脳には心臓に速く動けという指令とゆっくり動けという指令を同時に出しています。速く動けという指令は交感神経、ゆっくり動けというというのが副交感神経です。
心拍変動性解析についてご説明します、心臓がドキドキする間隔は規則正しいと感じているかもしれませんが、ミリ秒単位で見ると実は間が少し揺らいで長くなったり短くなったりしながら心拍していることがわかります。心電図計を使って心拍の間隔とそのゆらぎを解析すると、交感神経と副交感神経の活動がわかります。交感神経活動は、緊張したり活動したり、戦闘態勢に入る際などに活動が高まります。副交感神経活動は、リラックスしている時、眠い時などに高まってくる神経活動です。
まとめると、このような形になることが知られています。ストレスがかかると血圧と脈拍数が上昇し、交感神経の活動も高まり、副交感神経の活動が下がります。逆にリラックスすると、血圧と脈拍が下がり、交感神経活動も下がって副交感神経の活動が上がるという活動が典型的です。
ストレスが上がるとコルチゾールというホルモンも増えます。
10数年前から研究している森林浴からもこれらのことが分かります。2005年に千葉県の県民の森で12人の学生に森林で座観をして戴きました。同じように都会、千葉駅の前で行ってもらうと唾液からストレスを出すコルチゾールホルモンが増えてました。
植物の抽出成分は果実酒などに含まれていますが、植物は抽出成分を私達に喜んで貰おうとして作っているのではなく、昆虫を追い払ったり逆に引きつけたり、食べられたりするのを防ごうというなにか抗菌効果の為につくっています。珍しいところでは横にいる植物の生長を阻害したり促進したりする働きがあることで知られています。
ここでご紹介するのは、五感で得られる木材の要素を一つずつ取り出して実験室で実験した結果からです。こうしたことを踏まえた上で、木材の抽出成分を使ったいくつかデータもご紹介します。
これは、木材の香りに対する生理的な反応です。木材の抽出成分というより木材そのもののスギのチップが入った銀色のタンクから、スギの香りが被験者の周囲で漂います。上が、14名の方の血圧変化の平均値,下が脳の活動で、横軸が時間。90秒間香りをかいでいただく実験です。
香りをかぎ始めると血圧がスーっと下がり、脳の血流も下がってきます。スギの香りによって体が鎮静化し、脳の活動も鎮静化したことがわかるデータです。スギやヒノキ、松などの針葉樹に多く含まれる、香りがする化学成分「α-ピネン」という物質をかぐと、14人の方の平均値ですけど、真ん中の赤い線で血圧が低下していることがわかります。もう一つ、「リモネン」という、木や柑橘系のフルーツの皮などに含まれているレモンのような香りをかいでも血圧が下がりはじめて、木から成分を取り出しても体をリラックスさせる効果があることがわかりました。α-ピネンやリモネンはとても興味深く私もずっと研究しています。
これは、パソコンの作業をしてもらいながら香りをかぐとどうなるかという実験です。被験者に10分間安静にしてもらって20分間パソコンのストレスがかかる課題をしてもらい、その間、香りのある場合とない場合で比較をしています。画面上に9つ、時計のメーターのようなものが出てきて、その針がそれぞれバラバラに動きます。針が5分から15分の間のところに入ったら、1番から9番までつけられたメーターの番号を押すという課題です。9つがバラバラに動き、間違えると音が鳴るなどとてもストレスがかかる課題で、これを20分間やっていただいています。15名の方の平均値では、白が香りのない場合、赤がα-ピネンをかいだ場合、緑がリモネンをかいだ場合のデータです。10分から30分のところまでの20分間、PC作業をしてもらっています。
非常にストレスのかかる状態で作業をしていただいていますので、始めると心拍数がポンと上がりますが、香りをかぎながら作業をすると心拍数の上昇が抑えられたという結果が出ています。木の香り成分に、作業時のストレスを緩和する効果があるのではないかと解釈することができます。
大人だけで無く生まれたばかりの赤ちゃんに木の香りをかいでもらうとどうなるかという実験です。その結果をご紹介します。
α-ピネンとリモネンと香りがない場合を見ています。安静を2分間、香りを2分間かいで、また安静を2分間とるという実験をしたところ、赤ちゃんも木の香りをかぐと心拍が下がってリラックスするというデータです。再現性もあり、何度行っても同じ傾向が出るため、α-ピネンにはそういう作用があるのではないかと思っています。
マウスにがん細胞のような悪性腫瘍を植えて、その成長をみるという研究もされています。一匹のマウスは何も香りがない場所で過ごし、もう片方のマウスはα-ピネンの香りがする環境で過ごし、7日、10日、14日、17日後に腫瘍のサイズを図っていったデータです。香りがない場合はがん細胞が成長していきますが、α-ピネンの香りがあるゲージで飼われていたマウスは約40%成長が抑えられました。
人間とマウスでは直接は結び付けられませんが、もしかすると木を使った家に住んでいると同じ事が起こることが将来証明されるかもしれません。
人間で調べた日本医科大の先生の実験です。働きざかりの37から60歳の男性を都内のホテルに止まって貰って三晩ヒノキ材油を嗅いでもらって血液や尿を採ってストレス時に分泌されるノルアドレナリンを測りました。NK活性が有意に上昇しています。
ストレスが下がって免疫活動を活性化させることが免疫力を上げると解釈されます。先ほどのマウスの場合も、免疫力が上がって悪性腫瘍の成長を抑えたと考えることもできるかもしれません。
実際にリモネンとαーピネンをお持ちしましたので香りを嗅いで見て下さい。免疫力が上がるのでは無いかと思います。
今度はさわり心地のお話です。こんな実験をしています。針葉樹・広葉樹の塗装がないもの、塗装をしたもの、そしてプラスチック、金属。それぞれに触ってもらうとどういう反応が起きるかという実験です。
針葉樹・広葉樹の塗装のないもの、この2つは触ると「木だな」ということがわかります。それに対して、針葉樹・広葉樹に厚いポリウレタン塗装を施したものは、プラスチックのような感触です。被験者に目をつぶってもらい、材料は下から機械で上がってきて手に触れますので、ご本人たちは何を触っているかわかりません。
血圧の変化を見ると、どの材料も触った瞬間は血圧が上がりますが、針葉樹の無塗装の物は暖かみがあったせいか広葉樹の無塗装の物より速やかにもとの値に戻っていきます。針葉樹の厚い塗装や金属ではなかなか血圧が下がらずにドキドキした状態がずっと続くというデータです。したがって、適材適所で、木の手触りをいかした使い方が大切ではないかと解釈しています。
最近木育と言われて、子供のデーターが求められているので、ゴルフボール、プラスチックボール、木製ボールでボールプールを作って18人の小学生に入って寝て貰いました。
木製のボールプールに入って貰うと副交感神経活動が上がり、交感神経活動が下がります。
今まで、見た目、香り、手触りなどを取り出してきて実験室で行った実験をご紹介しましたが、最後に、木質に囲まれた空間がどういう影響を与えるかというデータをお示しします。
大学生に来て貰って、同じ大きさの隣り合わせ部屋が2つ、その内装を、一つは白いクロス張り、もう一つは床と天井をヒノキ、漆喰壁に壁はスギの腰板を貼りました。ここに被験者に来ていただき実験しています。
目をつぶって部屋に入り、目を開けてから3分間そこにいてもらいます。クロス張りの部屋では脈拍数がポンとあがります。木質の部屋では、脈拍数が上がりませんでした。クロス張りの部屋では体が多少ストレス状態になっていたのに対して、木の部屋ではそれがなかったという結果です。また副交感神経の活動ですが、木質の部屋でクロス張りの部屋に対して有意に高かったことがわかりました。したがって、木をふんだんに使った部屋では体がストレス状態にならずリラックス状態になる効果があると考えられます。
それぞれの部屋で室内空気を図ってみると、クロス張りの部屋は実験用に特殊な施工をしておりたくさん接着剤を使っているせいか、TVOC(総揮発性有機化合物)はクロス張りの部屋で多く、α-ピネンやβ-ピネン、リモネンといった木の香り成分は木質の部屋のほうが多かったという結果が出ています。木の香り成分や見た目の色の柔らかさなどが副交感神経の活動に関連しているのではないかと見ています。
最後に、学校の木造校舎の非常に有名なデータをご紹介します。先生たちの蓄積的な疲労を、木造校舎とRCの校舎で調べた実験の結果です。気力の減退や不安な気持ち、抑うつ状態、イライラというものがRCの校舎で有意に高く、木造では負の感情を抱くことが低かった、先生たちの疲労が少なかったという結果が出ています。
もうひとつ、左の上のグラフは小学生の授業中の注意力を調べたものです。下は、授業中の眠気とだるさを聞いたものです。RCの校舎では集中することが困難なうえに眠くてだるいという答えが多く、学年を経るごとに多くなっていく傾向がありましたが、木造校舎ではそういう答えが少なかったことと、学年が進んでも増えてこなかった結果が見出されています。インフルエンザによる学級閉鎖の率も、木造校舎と内装を木質化した校舎で少なかったということです。
これは1990年から1993年頃に行われた実験で、当時はどうしてこのような結果が出るのかわからなかったのですが、最近になって、こういうこともあるのかなということがわかってきたという例をご紹介します。
九州のある中学校で、教室の机をスギで作った机に替えた教室、よくある金属製の新しい机を入れた場合、古い金属製の机を使った教室の3クラスを作り、そこの生徒さんたちの唾液をとって免疫力を調べたというものです。
ご覧のとおり、スギの机を入れた教室では免疫力がずっと高く推移し、古い金属机を使っている教室、新しい金属机を使っている教室との差があったということです。休む学生も少なかったそうです。それぞれの教室で香り物質をとってみると、スギの机の教室でα-ピネンなど香り物質であるテルペン類が多く、香り成分がこれだけの効果をもたらしたのではないかと考えられています。
国産材利用の重要性が国際的にも高まったということで、今後は森林と木材をつなげた一体の対策をうっていく必要があると考えています。
後半は、木材に囲まれた空間が人をリラックスさせたり、免疫を向上させることをご紹介しました。今までご紹介したデータは全体の一部だけを調査している段階で、今後、まだ取り組むべき課題が多くあると考えています。子どものデータも必要ですし、女性のデータ、高齢者のデータも必要です。
木を使うことで、地球にもいい影響があり、人間にもいい影響があるという話をさせていただきましたが、これは決して偶然のことではなく、人間も自然の一部であるからこそだと感じています。
木をたくさん使うと地球も健康になるし人も健康になるという話をさせて戴きました。どうもありがとうございました。
第一部、地球環境というお話しをさせて戴きます。
太陽から来た熱を宇宙に戻す役割の地球の上に漂っている温室効果ガスが近年になって突然増えています。増えすぎたせいで、地球の気温が上がっています。
自然現象とは考えにくく、人間のせいと考えられます。人間が出している温室効果ガスのせいだろうというのが90%と発表されています。
例えば氷河が溶けたり、乾燥した南極大陸に適応しているペンギンの子供が濡れてしまい体温が奪われ生きていけない。生態系、環境に影響を与えています。ツバルの島が沈んでしまいます。人が住めるところが減ってきている、皆で考えて行く必要があります。
日本の二酸化炭素排出量は世界五位で上位になっています。
世界は手をこまねいているわけではなく途上国も先進国も関係なく世界の国が入っているCOP(コップ)が毎年11月か12月に行われて地域、国で二酸化炭素を何%削減するという約束をする気候変動枠組条約が世界中の国でなされています。気候変動を2020年までに1.5℃押さえる出来れば2℃までに押さえたいというものです。
その中で森林、木材に期待が集まっています。
図は二酸化炭素の大気と地球のやりとりを示しています。紫、オレンジの線、紫が排出でオレンジが吸収を表しています。二酸化炭素が増えすぎて困っているのでなるべくオレンジを増やして紫を減らしたい。
オレンジの線、二酸化炭素を吸収できるのは森林と海しか有りません。出すのは自動車や工場等で世界中から出ています。
海の吸収量は人間が頑張っても増やすことは難しいのですが、人間の努力に寄って森林の吸収量を増やすことは出来ます。紫を減らしオレンジを増やして
行きたい。温暖化防止に森林木材の役割に期待が高まっています。
では、吸収量ですが樹木が若い時、成長する時に二酸化炭素をたくさん吸収しますが、その二酸化炭素を分解して炭素の形で木の中に蓄えて大気中に戻さない効果を炭素貯蔵効果と呼んでいます。
ここで木材に期待が集まっています。森林が老齢化すると二酸化炭素の吸収量が落ちてくるので森林を若返させる必要があります。森林が成熟したら木材を切っ植林をして森林を若返させる為に木材の国内利用を進めていく必要があると言われています。
森林の地球温暖化防止効果があり、1つ目として炭素貯蔵効果があることが知られています。
2番目が省エネルギー効果、材料代替効果と言いまして、木材を加工する際のエネルギーは他の資材に比べて非常に少ないという特徴があります。これは省エネルギー効果と呼ばれています。同じものを作るならば鉄で作るよりも木材で作るほうが省エネルギー効果があります。
3番目は、化石燃料代替効果。長く大切に使った木材を最後にエネルギー源として使うことで化石燃料を使う量を減らすことができます。地中に眠っている化石燃料を二酸化炭素にする行為をやめ、いわゆるカーボンニュートラルで、化石燃料を代替することによって二酸化炭素の排出を削減する効果です。
森林・木材には以上の3つの効果があります。
木材中の炭素の量は、木材の絶乾重量の半分が炭素の重量です。1㎥の木材で200㎏の炭素が貯蔵されています。1㎥使えば200㎏の炭素を貯蔵、2㎥使えば400㎏の炭素を貯蔵したことになります。生産に100㎏排出したとしても100㎏の炭素を吸収しています。
このようなデータがあります。上は、同じ大きさの家があったとして、そこに蓄えられる炭素の量を表したものです。木造住宅では木がたくさん使われているので、他の工法の住宅に比べて炭素を貯蔵している量が多いことがわかります。下には排出量とありますが、これは、家を建てる時に使う材料を作るために排出するエネルギーです。木材には省エネルギー効果があるため、木造住宅は他の工法の住宅よりも値が小さくなります。
まとめますと木造住宅で何倍もの炭素を貯蔵したことになります。
「気候変動枠組条約」により、報告されている森林は、国内にある人の手により整備されている森のことを指しています。言い換えれば、自国内にあり、自分で手入れしている森から出てきた木材の炭素吸収・排出量を計測して報告しなさいというルールが決まったということです。国産材利用の重要性が今まで以上に高まったと言えると思います。
もう一つ、このルールの重要な点は、木材が森林と結び付けられたという点です。国産材利用と森の吸収・排出とのつながりを一体のものとして対策していくべきだと考えています。
木材利用を含む森林吸収源によるオフセットという制度があります。
森林による二酸化炭素吸収だけではなく、木材の良さが知られており、木材利用促進によるオフセットは国産材利用のみとされています。国産材に利用に追い風が吹いています。
排出、環境負荷について木材が環境に良いと言っても伐採して製材する時に二酸化炭素排出します。配送時のウッドマイレージというものがあります。
ここまでのまとめを致します。
環境負荷とは人の活動が地球環境に与える負の影響のことです。環境負荷を評価する方法としてLCA(ライフサイクルアセスメント)があります。排出量を明示するカーボンフットプリント、ウッドマイレージなど「見える化」を通して炭素排出を減らす努力がなされつつあります。
ウッドマイレージはLCAのところで輸送に着目して、木材の輸送量にウッドマイルズを掛けたのがウッドマイレージです。
日本、アメリカ、ドイツを比べると日本はとても遠くから輸入しているのでウッドマイレージが大きくなります。
このグラフはウッドマイレージを最初に提案した林野庁の藤原さんの論文から計算したものです。木材を50㎞以内から持ってくると十分の一、さらに百分の一にも減らすことが出来ます。
ここまでのまとめをしますと、・環境負荷とは人の活動が地球環境に与える負の影響のこと。・環境負荷を評価する方法としてLCA(ライフサイクルアセスメント)があります。・カーボンフットプリント、ウッドマイレージなど「見える化」を通して炭素排出を減らす努力がなされています。
排出の内、森林の吸収を差し引いて報告して良いことになっています。これはオフセットと呼ばれます。
香取市木材協同組合講演会
地域材利用の必要性
~「木の良さ」を数値で表す~
講演日 2018年2月6日
講 師 恒次 祐子 博士
東京大学大学院 農学生命科学研究科
生物材料科学専攻 材料・住科学講座 木材物理学研究室 准教授
講演内容
第一部 木材利用と地球環境 (前半)
□ 地球温暖化の現状
□ 温暖化防止に関する世界の取り組み
□ 木材利用による地球環境への影響
□ CUP(コップ)と木材利用
第一部、前半は地球環境のお話をさせて戴きます。木材利用をするとどういう風に地球温暖化に良い働きをするか、それと良いことばかりでなく環境負荷という面からも木材の影響も考えていきたいと思います。
第二部、後半はなんとなく落ち着く感じ、ほっとするというのを、人に与える影響、体を計ることで、「木の良さ」を数値で表すということを試みていきたいと思います。データーを紹介させて戴きます。
【写真は東京大学のホームページより】
昨年度講演者の外崎真理雄教授と共に研究をしていた東京大学大学院准教授の恒次祐子先生に講演をして戴きます。恒次祐子先生は、国立研究開発法人森林総合研究所主任研究員(兼任千葉大学客員准教授)を歴任後この9月1日から東京大学大学院准教授の職についております。
先生は木材物理学の最先端と評価される高度な研究をしておられるのですが、講演では一般の聴衆にも分かりやすいお話をしていただけます。
講演内容は、木材利用には3つの地球温暖化防止効果があり、1つ目として炭素を貯蔵する効果があること。2番目として、木材を加工する際のエネルギーは他の資材に比べて非常に少ないという特徴があります。省エネルギー効果と呼ばれています。3つ目は、化石燃料代替効果。長く大切に使った木材を最後にエネルギー源として使うことで化石燃料を使う量を減らすことができます。いわゆるカーボンニュートラルです。さらに「地域材」を使うことにより運送において化石燃料の消費を抑えるという「ウッドマイレージ」という効果です。最新の恒次准教授の研究も紹介していただき講演をしていただきたいと考えております。
また、当日の日程は下記の通りです。
開催日 平成30年2月6日(火)
会 場 佐原中央公民館 視聴覚室
開 会 PM2:00
ご挨拶 PM2:10 宇井成一香取市市長
講演会 PM2:30
講 演 「地域材利用の必要性」
講演者 恒次祐子氏 (東京大学大学院准教授)
JR佐原駅集合 13:20発→ 佐原駅観光案内所(内装 香取すぎ)→ 小見川認定こども園(内装 香取すぎ)→ 小見川市民センターいぶき館【講演会】→ 道の駅 水の郷 さわら(香取すぎ看板等)→ JR佐原駅 17:40着
開催日時:2016年10月27日(木)午後3時
開催場所:香取市小見川市民センター いぶき館3階小ホール
国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)2006年インベントリ(排出・吸収目録)に日本国から執筆者として選出された外崎真理雄教授を招き講演会を行います。
外崎教授は木材資源利用と環境影響研究の第一人者といえます。教授は既に平成10年の研究発表で、「地球温暖化に対し樹木の持つ二酸化炭素吸収固定機能の活用が、人類のなしえる最も有効な対抗手段であることは広く知られつつある。」「しかしながら成熟・老齢期に入った森林が—、見かけ上二酸化炭素濃度を放出も吸収もしない状態になっていることはあまり知られていない」「二酸化炭素濃度の増加速度を遅らせるだけの省エネなどではなく、真の意味で大気中の二酸化炭素を削減するためには、—新規造林による森林面積の拡大を後押しし、吸収した炭素を固定し続ける木材の耐久的利用の拡大が必要であるとのコンセンサスが今こそ求められている。」と先駆的な提言を行っています。
木材価格については、「色々な人と話したが、何故こんなに下がり続けるのか説明できる人はいなかった」とし、教授自身が木材の価格形成メカニズムの説明を試みた結果から、2005年から2014年に世界の工業用需要が微増する中でも、日本は用材需要が二割減している現実を注視しております。
日本建築学会による1959年の「木造禁止決議」その後の「木造研究の暗黒時代」を経て、「今後は『木材利用促進法』を突破口に非居住用建築物の木造化が求められる。」としております。さらに、建築分野のみならず土木分野の需
要拡大を提言しています。
【外崎真理雄氏】
研究分野 木材資源利用と環境影響および木材の振動.音響特性に関する研究
【略歴】東京大学農学部卒業 農学博士 森林総合研究所に入所・研究
2016年10月より 東京大学アジア生物資源環境研究センター特任教授
参画団体:香取市木材協同組合、千葉県木材振興協会、ちばの木認証センター
お問合せ:香取市木材協同組合 ☎0478-50-5700
香取市木材協同組合 公式ホームページがリニューアルしました。
今後ともよろしくお願いいたします。